豊胸材で病気になった

2011-02-14

1994年には、メイヨー・クリニックのシェライン・ガブリェルがNEJMに論文を提出した。豊胸材がある種の病気にかかる危険を増すかどうかを統計学的に調べた最初の研究(疫学的研究)だった。ところが、この時期すでに、豊胸材で病気になったと主張する何千件もの訴訟が起きていた。訴訟を起こした女性達の中には、同情的な陪審のおかげで莫大な賠償金を受け取った人達もいた(最高額は2500万$)。原告女性に有利な陪審評決が出る度に、ますます多くの訴訟が法廷外で和解した。ついに豊胸材メーカーは事態を持ちこたえられなくなって、豊胸材を一度でも入れた全女性の請求に応じるために42億5000万$を準備することに同意した。史上最大の集団訴訟の和解である。ところが、その集団訴訟の和解の公表後しばらくして、論文として発表されたメイヨー・クリニックの研究は、豊胸材と病気との関連を示していなかった。私は法的裁定と科学的証拠との不一致に愕然とした。科学者が全く確信をもっていなかったのに、なぜ裁判所はそれほど確信をもったのか?この疑問に対して考えられるいくつかの答を、私はメイヨー・クリニックの研究と同じ号の論説の中で示唆した。それがこの主題に関わった二度目で、その時すでに私は深入りしすぎていて、抜け出せなくなっていた。

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