マンションの補修・維持管理は中断されてしまった

2011-10-20

老朽要件と費用の過分性に関しては、九九年(平11)に相次いで二つの案件について一審判決が言い渡され、いずれも建て替え反対派が敗訴している。三月の新千里桜ヶ丘住宅、六月のグランドパレス高羽であり、両者ともに建て替え決議がなされていたものだ。建て替え論議の発端は、前者は築三十年以上の経年変化による建物の老朽化をめぐるもので、判決では建て替え推進派が主張する「老朽要件」を認めている。また、阪神・淡路大震災の被災マンションである後者は、復旧の方法をめぐって争われたもので、判決は補修に要する費用は建て替え費用に比べて過分に当たるとした。両件の係争では、推進派、反対派ともに、それぞれの妥当性を主張するために、建て替え・補修に関する工事費の見積りを出し合うなど、法廷はゼネコンの公開入札会場の様相を呈したという。その間、当のマンションの補修・維持管理は中断されてしまった。一方は経年劣化か日ごとに増し、一方は震災時のままの状態にあった。そして高裁、最高裁と裁判が続く限りその状態からは抜け出廿ない。一般のマンションでもこうした事態に陥りかねないのである。